柔整の療養費改定、上がった項目と減る条件が同時に入りました|柔道整復の令和8年7月1日施術分から

料金の段が順に下りていくことを表した抽象図

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令和8年(2026年)7月1日の施術分から、柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準が変わりました。改定率は+0.60%です。

ただ、同じ改定の中に、2部位目の施術に80%の逓減を入れる変更が同時に入っています。上がった項目と、減る条件が、1回の計算の違う段に入りました。

この記事は、厚生労働省の通知を開いて、何がどう変わったかを、計算の順に確かめます。手取りがいくら増えるか、いくら減るかは書きません。 院ごとの部位数と期間で、結果が逆になるためです。

この記事は 2026年9月15日 に取得した厚生労働省の公表資料にもとづいています(公開日 2026年9月18日)。引用はすべて原文の字のままです。

この記事を書いているのは、都内で長年営業する整骨院と共同開発し、整骨院向けの予約管理システムを作って運用している会社です。療養費の請求そのものを扱う立場にはありません。 だからここでは、厚生労働省が公表している通知に書かれていることだけを確かめます。会社の説明は、記事の最後に置いています。


変わったのは、令和8年7月1日の施術分からです

厚生労働省の保険局長通知は、こう書いています。

「『柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準』(昭和33年9月30日付け保発第64号厚生省保険局長通知)について、その一部を別紙のとおり改正し、令和8年7月1日施術分から適用することとしたので、貴管下の関係者に周知を図るとともに、円滑に取り扱われるよう御配慮願いたい。」

(厚生労働省 保発0601第4号・令和8年6月1日。以下「算定基準の通知」)

「施行」ではなく「適用」、しかも「施術分から」です。7月1日をまたいで通っている患者さんでも、7月1日以降の施術が対象になります。

改定率は、厚生労働省の改定資料が「柔整療養費の改定率+0.60%」としています。同じ資料に、令和8年度診療報酬改定における医科の改定率が+0.28%と並べて書かれています。

この+0.60%は、全体の枠です。1院ごとの増減がこれで決まるわけではありません。 理由は、この記事の後半で条文そのものから確かめます。

なお、運用の細かい点を定めた留意事項の通知には、令和8年9月7日まで訂正が出ています。この記事は、そこまでを織り込んだ字で確かめています。

この改定の位置も、資料に数字があります。厚生労働省の「令和8年度料金改定に関する基本的な考え方(案)」(保険局調査課とりまとめの推計)によれば、柔道整復療養費は平成26年度の3,825億円から、令和4年度には2,747億円になっています。令和4年度の対前年度伸び率は−4.2%です。同資料は、令和2年度の大きな減少について「コロナ禍における患者数の減少等も要因の一つと考えられる」と注記しています。令和4年度が、この資料に載っている最新の年度です。


単価は上がっています。ただし1つだけ下がっています

算定基準の通知の別紙は、新旧対照の形になっています。打撲及び捻挫について、金額はこう変わりました。

項目改正前改正後
初検料1,550円1,560円
再検料410円420円
施療料(打撲・捻挫)760円770円
後療料(打撲・捻挫)505円550円
温罨法料75円80円
冷罨法料85円80円
電療料33円46円

いちばん動いたのは後療料で、45円上がりました。 電療料も33円から46円になっています。

冷罨法料だけは、85円から80円に下がりました。 温罨法料が75円から80円に上がった結果、両方が80円でそろっています。

初検時相談支援料100円と往療料2,300円は、新旧とも同額です。

なお、算定基準の通知の別紙は、骨折・不全骨折・脱臼の欄を「(略)」として省いています。そのため、この記事では打撲・捻挫の料金だけを扱います。「変わっていない」という意味ではありません。


金額だけでなく、算定できる場面も変わりました

金額の表だけを見ていると落ちるところがあります。初検料と再検料は、算定できる場面そのものが変わりました。

こちらは、算定基準とは別の通知に書かれています。

(厚生労働省 保険局医療課長通知 保医発0601第1号・令和8年6月1日。以下「留意事項の通知」)

初検料が算定できない期間が、1月から3月になりました。

改正後:「患者の負傷が治癒し、又は患者が任意に施術を中止した日の翌日から起算して3月内に同一の施術所において施術(当初とは異なる負傷又は部位に対するものを含む。)を行った場合の初検料は算定できないこと。」

改正前:「患者が任意に施術を中止し、1月以上経過した後、再び同一の施術所において施術を受けた場合には、その施術が同一負傷に対するものであっても、当該施術は初検として取り扱うこと。」

括弧の中を読み飛ばさないでください。「当初とは異なる負傷又は部位に対するものを含む」と書かれています。別の負傷で来られた場合も、3月内であれば同じ扱いになります。

この取扱いには、適用の条件が付いています。算定基準の通知とは、日付の数え方が違います。

「なお、改正後の第2の1及び第4の3に係る取扱いについては、令和8年7月1日以降に負傷の治癒又は施術の中止があった場合について適用する。」(留意事項の通知)

再検料は、算定できるのが1回から2回になりました。

改正後:「再検料は、初検料を算定する初検の日後初回及び2回目の後療の日のみ算定できるものであり、3回目以降の後療においては算定できないこと。」

改正前:「再検料は、初検料を算定する初検の日後最初の後療の日のみ算定できるものであり、2回目以降の後療においては算定できないこと。」

あわせて、初検料が算定できなかったときの規定が新しく入りました。

「第2の1に基づき初検料が算定できなかった場合において、負傷の治癒又は施術の中止の日の翌日から起算して1月を経過した日以降の施術については、連続する2回まで再検料が算定できること。」(留意事項の通知)


2部位目に、80%の逓減が入りました

ここからが、この改定の芯です。算定基準の通知の備考3を、新旧で並べます。

改正後:「備考3.施術部位が2部位以上の場合は、後療料、温罨法料、冷罨法料及び電療料について、2部位目は所定料金の100分の80に相当する額により算定し、3部位目は所定料金の100分の60に相当する額により算定する。なお、4部位目以降に係る費用については、3部位目までの料金に含まれる。」

改正前:「備考3.施術部位が3部位以上の場合は、後療料、温罨法料、冷罨法料及び電療料について3部位目は所定料金の100分の60に相当する額により算定する。なお、4部位目以降に係る費用については、3部位目までの料金に含まれる。」

変わったのは2か所です。書き出しが「3部位以上」から「2部位以上」になったこと。そして、2部位目の100分の80が新しく入ったことです。

逓減がかかるのは、条文が挙げている後療料・温罨法料・冷罨法料・電療料の4つです。初検料と施療料は、この4つに入っていません。

そして、ここが算定基準の通知だけでは分からないところです。

改正後:「2部位目の多部位逓減は捻挫及び打撲、3部位目の多部位逓減は、骨折、不全骨折、脱臼、捻挫及び打撲の全てのものが対象となること。」

改正前:「多部位逓減は、骨折、不全骨折、脱臼、捻挫及び打撲の全てのものが対象となること。」

(留意事項の通知。見出しも「施術部位が3部位以上の場合の算定方法」から「施術部位が2部位以上の場合の算定方法」に変わっています)

新しく入った2部位目の逓減は、捻挫と打撲だけが対象です。 骨折・不全骨折・脱臼は、2部位目の逓減の対象になりません。3部位目の逓減は、従来どおり全部が対象です。段によって、対象になる負傷が違います。

同じところに、こういう規定もあります。

「逓減率が変更されるのは他の部位が治癒したことによる場合のみであり、2部位以上の施術期間中、その日に1部位のみについて施術するような場合については逓減率は変更されないこと。」(留意事項の通知)

改正前は「3部位以上の施術期間中、その日に2部位のみについて施術するような場合」と書かれていた箇所です。逓減の段が1つ下りた分、この規定も1つ下りています。


逓減には、かかる順番があります

長期・頻回の逓減は、以前からありました。今回、その率も変わっています。算定基準の通知の備考4です。

「初検日(初検料を算定できない場合を含む。以下この項において同じ。)を含む月から起算して5か月を超える月における施術(骨折又は不全骨折に係るものを除く。)については、後療料、温罨法料、冷罨法料及び電療料について所定料金(備考3.により算定されたものを含む。)の100分の75に相当する額により算定する。ただし、初検日を含む月以降の連続する5か月以上の期間において1月につき10回以上の施術(骨折又は不全骨折に係るものを除く。)を行っていた場合は、当該連続する5か月の翌月以降に行う施術(骨折又は不全骨折に係るものを除く。)については、後療料、温罨法料、冷罨法料及び電療料について、所定料金(備考3.により算定されたものを含む。)の100分の50に相当する額により算定する。」

長期の逓減は、改正前は100分の80でした。それが100分の75になっています。 2部位目の話だけを見ていると、ここが落ちます。

そして、この条文でいちばん大事なのは括弧の中です。

「備考3.により算定されたものを含む」と書かれています。つまり、2部位目の100分の80を適用した額に、さらに100分の75(頻回なら100分の50)がかかります。順番があります。

所定料金にいきなり100分の75をかけるのではありません。先に部位の逓減、あとから期間の逓減です。

逓減がかかる順番の図。所定料金に、備考3の部位の逓減(2部位目は100分の80、3部位目は100分の60)がかかり、そのあとに備考4の期間の逓減(100分の75、頻回は100分の50)がかかる

起算点も変わりました。

改正前:「初検日を含む月(ただし、初検の日が月の16日以降の場合にあっては、当該月の翌月)から起算して」

改正後:「初検日(初検料を算定できない場合を含む。以下この項において同じ。)を含む月から起算して」

初検の日が月の16日以降なら翌月から数える、という括弧書きが無くなりました。 留意事項の通知の側も、同じように直っています。そちらには「各部位ごとにその初検日…を含む月から起算する」と書かれていて、こちらのほうが読みやすい書き方です。なお「各部位ごと」は改正前からある言葉で、今回変わったところではありません。

混ぜてはいけないものが、この周りに2つあります。 どちらも患者さんから差額を受け取れるという規定ですが、別のものです。

どこ何が認められているか
備考4(頻回の100分の50)「所定料金の100分の50に相当する額と、所定料金の100分の75に相当する額との差額の範囲内に限り」患者から支払いを受けることができる
備考5(5か月を超えて継続して3部位以上・届け出た施術所に限る・1回1,200円)「当該施術に要する費用の範囲内に限り」前記料金を超える金額の支払いを受けることができる

範囲の書き方そのものが違います。 備考5は「あらかじめ地方厚生(支)局長及び都道府県知事に届け出た施術所において施術を行う柔道整復師に限り」という条件付きの規定です。一方の説明を、もう一方に当てはめないでください。


明細書まわりも動いています

算定基準の通知の備考9で、加算の名前が変わりました。

改正前:「…明細書を無償で患者に交付した場合は、令和6年10月1日以降の施術分から、明細書発行体制加算として、月1回に限り、10円を算定する。」

改正後:「…明細書を無償で患者に交付した場合は、明細書発行加算として10円を算定する。」

「体制」が取れて、「月1回に限り」という言葉が無くなりました。では何回算定できるのかは、留意事項の通知のほうに書かれています。

改正後:「明細書発行加算は、明細書を交付するたびに算定できること。 なお、患者の求めに応じて明細書を1ヶ月単位で交付する場合は、一部負担金の支払いを受けた当該月又は翌月に明細書を交付することになるが、ある月に複数月分の明細書を1ヶ月単位で交付した場合であっても、明細書発行加算は同月内においては1回のみの算定に限ること。」

改正前:「明細書発行体制加算は、同月内においては1回のみ算定できること。」

「月1回」から「交付するたび」へ。ただし、1ヶ月単位でまとめて交付する場合は、同月内1回のみです。 例外のほうを落とさないでください。

明細書そのものについては、改定資料が「明細書に負傷名又は施術した部位を記載する欄を設ける等、様式の整備を行う」としています。あわせて、保険者による被保険者等への照会(いわゆる患者照会)についても、手法の整備を行うと書かれています。


増減を書けない理由と、手元で確かめられること

ここまでを並べると、この改定の形が見えます。

これは単価の改定ではなく、体系の組み替えです。 改定資料は、2部位目の逓減を入れた理由を「一連の施術として評価を行う観点から」と説明しています。1回ごとの単価を上げる一方で、部位が増えたときと期間が延びたときの評価を下げる。方向の違う変更が、同じ改定の中に同時に入りました。

だから、どちらが大きく出るかは院によって変わります。 1部位の施術が中心で、期間も長くない院と、2部位以上を継続して扱う院とでは、同じ改定でも符号が逆になります。「いくら増えます」とも「いくら減ります」とも、この記事には書けません。

手元で確かめられることはあります。 7月以降の支給申請書の控えと、6月までの控えを並べてみることです。見るのは合計金額ではなく、2部位以上の申請がどれくらいの割合を占めているかと、初検日から5か月を超えている患者さんがどれくらいいるかの2つです。この2つの割合が分かれば、自院にとってどちらの変更が大きく効くのかは、自分の数字で見えます。

なお、この記事では扱わなかったことがあります。初検日の定義が変わったことに合わせて、長期施術継続理由書・施術情報提供料・長期逓減の起算にも、そろって「初検料が算定できない場合の初回の施術日を含む」という括弧書きが入りました。骨折・不全骨折・脱臼の料金、支給申請書の様式、あん摩マッサージ指圧・はり・きゅうの改定にも触れていません。

算定や請求の具体的な取扱いについては、所管の地方厚生(支)局、または加入されている団体・保険者にご確認ください。 留意事項の通知には適用開始の後も訂正が出ているので、厚生労働省の「柔道整復師の施術に係る療養費の改定等について」のページで最新のものを確かめられます。

同じ療養費の周りで、令和8年12月にもう1つ期限があります。オンライン資格確認と受領委任の取扱いについては、別の記事にまとめています。


よくあるご質問

Q. 結局、うちの療養費は増えるのですか、減るのですか。

A. この記事では書けません。改定率の+0.60%は全体の枠であって、1院ごとの結果を示す数字ではないためです。今回の改定では、後療料などの単価が上がる一方で、2部位目の施術に100分の80の逓減が新しく入り、長期の逓減も100分の80から100分の75になりました。1部位・短期が中心の院と、2部位以上を継続して扱う院とでは、同じ改定でも向きが逆になります。自院の支給申請書の控えで、2部位以上の割合と、初検日から5か月を超えている患者さんの割合をご確認ください。

Q. 2部位目の100分の80は、骨折や脱臼にもかかりますか。

A. かかりません。留意事項の通知は「2部位目の多部位逓減は捻挫及び打撲、3部位目の多部位逓減は、骨折、不全骨折、脱臼、捻挫及び打撲の全てのものが対象となること」と書いています。2部位目の逓減の対象は捻挫と打撲で、3部位目の逓減は従来どおり全部が対象です。この区別は算定基準の通知の備考3には書かれておらず、留意事項の通知にあります。

Q. 明細書発行加算は、月に何回まで算定できますか。

A. 留意事項の通知は「明細書発行加算は、明細書を交付するたびに算定できること」と書いています。改正前の明細書発行体制加算は「同月内においては1回のみ算定できる」とされていました。ただし例外があり、患者の求めに応じて1ヶ月単位でまとめて交付する場合は、ある月に複数月分をまとめて交付しても、同月内は1回のみの算定に限るとされています。

Q. 初検料が3月内は算定できないという取扱いは、いつの施術から適用されますか。

A. 留意事項の通知は「改正後の第2の1及び第4の3に係る取扱いについては、令和8年7月1日以降に負傷の治癒又は施術の中止があった場合について適用する」と書いています。金額の改定が「令和8年7月1日施術分から適用」であるのに対して、こちらは治癒または中止があった日で判断する書き方になっています。


出典(いずれも2026年9月15日確認)

  • 厚生労働省 保険局長通知「『柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準』の一部改正について」保発0601第4号・令和8年6月1日 https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T260603S0010.pdf
  • 厚生労働省 保険局医療課長通知「『柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項等について(通知)』の一部改正について」保医発0601第1号・令和8年6月1日 https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/260605_03.pdf
  • 厚生労働省 事務連絡「『柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項等について(通知)』の一部訂正について」令和8年6月23日 https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/260629_01.pdf
  • 同 令和8年7月21日 https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/260803_01.pdf
  • 同(等の一部訂正について)令和8年9月7日 https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/260914_01.pdf
  • 厚生労働省「柔道整復療養費の令和8年度料金改定(案)」柔-1 08.04.30 https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001696843.pdf
  • 厚生労働省「令和8年度料金改定に関する基本的な考え方(案)」柔-1 08.01.30 https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001646871.pdf
  • 厚生労働省「柔道整復師の施術に係る療養費の改定等について」(通知の一覧) https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/01-01.html

この記事について

ここまでが、厚生労働省が公表している通知の話です。以下は、この記事を書いている会社の説明です。

冒頭で触れた会社です。都内で長年営業する整骨院と共同開発し、整骨院向けの予約管理システム SyncotBase を作って運用しています。

療養費は、保険を使った施術の費用を保険者に請求する仕組みです。患者さんが来院の予約を取る仕組みとは、別のものです。

SyncotBase には、保険請求の機能も、保険診療のWeb予約受付の機能もありません。

SyncotBase が扱うのは、来院の予約の受け付けと、患者さんの情報の管理です。

当社は療養費の請求の代行も、レセプトの作成も行っていません。

予約の受け方や患者さんの情報の管理については、SyncotBase の内容をこちらでご覧いただけます。

整骨院向け予約管理システムの機能と料金を見る(SyncotBase公式サイト)

算定や請求の取扱いについては、所管の地方厚生(支)局、または加入されている団体・保険者へ。