ご自身の院の、患者さん側の画面を最後にご覧になったのはいつでしょうか。
院長が毎日見ているのは管理画面です。予約が並び、患者さんの情報が並び、カルテが開く画面です。一方で、患者さんが見ているのはまったく別の画面です。同じ予約を、別の側から見ています。
この記事は、その別の側に何が出ているのかの話です。先に申し上げると、院が思っているより多くが出ています。
なお、患者さんがその画面にどうやって入るのかは整骨院・接骨院の24時間ネット予約に書きました。この記事は、入ったあとに何が見えているかだけを扱います。
予約の備考は、患者さんの画面に出ています
SyncotBaseでは、予約に書いた「備考」が、患者さんの画面に出ます。
予約を作るとき、あるいは後から開いて編集するとき、日時やメニューの下に備考の欄があります。ここに書いた内容が、そのまま患者さんの側に表示されます。
これは隠されている仕様ではありません。入力欄のすぐ横に「患者マイページに表示されます」と書いてあります。
つまりこの欄は、院から患者さんへ伝えるための場所として作ってあります。「次回はタオルをお持ちください」「今回は少し長めにお時間をいただきます」——そうした一言を届けたいときに使うものです。
伝えるつもりで書いているなら、何も問題は起きません。
問題が起きるのは、そのつもりで書いていないときです。
同じ「備考」でも、出ないほうがあります
SyncotBaseには、備考の欄がもう1つあります。 患者さんの詳細画面にある「院内備考」です。
こちらは、患者さんには出ません。スタッフの間で共有しておきたいことを残す場所です。
カードの見出しには「スタッフのみ」という印が付いています。そして、入力欄にも同じように書いてあります。 「院内スタッフ向けの備考を入力…(患者マイページには表示されません)」と。

並べてみると、こうなります。
| どこに書くか | 患者さんに |
|---|---|
| 予約の備考 | 見えます |
| 患者さんごとの院内備考 | 見えません |
画面はどちらもはっきり書き分けています。 見えるほうには「表示されます」、見えないほうには「表示されません」と、それぞれ添えてあります。
ですから、これは仕組みの不備で起きることではありません。起きるのは、注記を読まずに書いたときです。
そして、それが起きやすいのは受付を複数人でやっている院です。ある人は患者さんへの連絡のつもりで備考に書き、別の人はスタッフ間の申し送りのつもりで同じ欄に書く。後者は、そのまま患者さんに届きます。
「あの患者さんは少し話が長い」「前回、支払いのことでやりとりがあった」——院の中でだけ共有したい内容が、書く場所を1つ間違えるだけで外に出ます。
患者さんの画面では、こう出ます
この記事を書いているのは、合同会社Rhythmwalkerです。整骨院向けの予約管理システム「SyncotBase」を作っています。都内で長年営業する整骨院と共同開発し、いまも導入院の本番環境を保守しています。ここから先は、作っている側から見た話になります。
SyncotBaseでは、備考は患者さんの画面の上のほうに、色のついた帯として出ます。
「院からのお知らせ」という見出しが付き、その下に「院からメッセージがあります」と表示されます。予約の日時とメニュー名が添えられ、備考の中身は最初から開いた状態で出ます。患者さんが何かを押して開く必要はありません。
つまり、マイページを開いた患者さんの目に、まず入ります。
出るのは、直近の予約から最大5件です。それより前の予約に書いた備考は、表示されません。古いものが延々と残り続けることはない、という作りです。
伝えたいことを届ける場所としては、よくできています。目立つ場所に、開いた状態で出るからです。 裏を返せば、届けるつもりのないものを書いたときも、同じように目立ちます。
患者さんの画面に何が出ているか相談する(SyncotBase公式サイト)
消したことは、院からは見えません
ここに、もう1つ知っておいていただきたいことがあります。
SyncotBaseでは、患者さんは「今後は表示しない」を押して、そのお知らせを消せます。
そして消したという記録は、患者さんがお使いの端末の中にだけ残ります。院の画面には出ません。
これが何を意味するか、整理します。院の側から見ると、次の3つがすべて同じに見えます。
- 患者さんがまだマイページを開いていない
- 開いたけれど、お知らせを読んでいない
- 読んだうえで、消した
どれなのかを、院が知る方法はありません。
だから、実務としての結論は1つです。必ず伝わらなければ困ることは、備考だけに頼らない。 当日の持ち物や、時間の変更のように「読まれていなかったら困る」ことは、備考に書いたうえで、電話や公式LINEでも伝える。備考は念のためもう一度目に入る場所として使う。そう位置づけると、無理がありません。
逆に「読まれていなくても実害がない」ことなら、備考だけで十分です。書いた側が、そのつもりでいられるかどうかの話です。
カルテの写真も、患者さんは見られます
SyncotBaseのStandardプランでは、カルテに添付した写真や動画を、患者さんがマイページから見られます。
この機能はStandardプランのものです。 Lightプランはカルテに画像を添付すること自体ができないため、患者さんの側にも見えるものがありません。
見え方には、決めごとがあります。画像に固定のURLはありません。 患者さんが開いたその時に発行される、時間で切れるリンクだけが使われます。患者さんの側で1時間を過ぎると、そのリンクは使えなくなります。URLをどこかに貼っておいて、後から誰でも開ける、という形にはなりません。
実務として効いてくるのは、撮る側の意識です。施術の記録として撮った写真が、患者さんにも見えている。そう分かっていると、撮り方や、写り込むものへの気の配り方が変わります。
見せたくないものを撮ってしまったときは、カルテの側から外せば、患者さんの画面からも消えます。
患者さんが自分で直せるもの
ここまでは「院が書いたものが患者さんに見える」話でした。逆の向きもあります。
SyncotBaseでは、患者さんがご自身で更新できるものが3つあります。
- 連絡先などのプロフィール。引っ越しや電話番号の変更を、患者さんの側で直せます
- 暗証番号の変更。ご本人の判断で変えられます
- 暗証番号の再設定。忘れてしまったときは、メールで届く一度きりのリンクから設定し直せます
3つ目が、いちばん院の手間に効きます。
暗証番号を忘れた患者さんは、たいてい院に電話をかけてきます。受付が手を止めて、患者さんの情報を開いて、確認して、口頭でお伝えする。1件あたりは数分でも、それが受付のいちばん忙しい時間に来ます。
再設定の導線があることを患者さんが知っていれば、その電話は減ります。 初回のご案内に一行添えておく、公式LINEのメニューに置いておく——やることはそれだけです。
プロフィールの更新も同じです。患者さんが直せると知らなければ、院に連絡が来て、院が入力し直すことになります。
返ってくる道は、ありません
ここまでの流れで、もう1つ気になるところがあると思います。患者さんからは返せるのか、という点です。
SyncotBaseでは、マイページから患者さんが返信する手段はありません。 お知らせは院から患者さんへの一方向で表示されるもので、その画面に返信の入力欄はありません。
予約の取り消しも、患者さんの操作ではできません。 日時の変更とお取り消しは、お電話でお受けする形になります。当日のキャンセルや無断欠席をどう扱うかは治療院のドタキャン対策のほうが詳しいです。
ですので、患者さんに何かを尋ねる使い方——「ご都合はいかがですか」と備考に書いて返事を待つ、といった使い方はできません。伝えるだけの場所だとお考えください。
SyncotBaseの場合
- 予約の備考は、患者さんのマイページに出ます。入力欄にも「患者マイページに表示されます」と書かれています
- 患者さんごとの院内備考は、出ません。こちらの入力欄には「患者マイページには表示されません」と書かれています
- 患者さん側では「院からのお知らせ」として、日時・メニュー名とともに開いた状態で表示されます
- 表示は直近の予約から最大5件です
- 患者さんは「今後は表示しない」で消せます。消したかどうかは、院の画面からは分かりません
- カルテの写真・動画は、患者さんもマイページから見られます(Standardプラン)。固定のURLはなく、時間で切れるリンクだけが使われます
- プロフィールの更新・暗証番号の変更・暗証番号の再設定は、患者さんご自身でできます
- 患者さんからの返信・患者さんご自身での予約の取り消しはできません
- 患者さんがマイページに入る方法は整骨院・接骨院の24時間ネット予約に書いています
予約システム全体をどう選ぶかは、予約管理システムの選び方ガイドにまとめています。
よくあるご質問
Q. 予約の備考に書いたことは、患者さんに見えますか。
A. SyncotBaseでは見えます。入力欄にも「患者マイページに表示されます」と書かれています。患者さんの画面では「院からのお知らせ」として、開いた状態で表示されます。スタッフの間だけで共有したいことは、次の質問の場所へお書きください。
Q. スタッフだけに残したいメモは、どこに書けばいいですか。
A. 患者さんの詳細画面にある「院内備考」です。こちらは患者さんには表示されません。入力欄にも「患者マイページには表示されません」と書かれています。書く前にどちらの欄かを確かめる、という運用にしておくと確実です。
Q. 患者さんがお知らせを消したかどうか、院で分かりますか。
A. 分かりません。消したという記録は、患者さんがお使いの端末の中にだけ残ります。院の側からは「まだ開いていない」「読んでいない」「読んで消した」の区別が付きません。必ず伝わらなければ困ることは、お電話や公式LINEでも重ねてお伝えください。
Q. 患者さんから返信は来ますか。
A. SyncotBaseでは、マイページから返信する手段はありません。お知らせは院から患者さんへ表示するもので、返信の入力欄はありません。患者さんからのご連絡は、お電話でお受けする形になります。
まとめ
患者さんのマイページには、院が思っているより多くが出ています。
出ているものと、出ていないものの境目は、どこに書いたかで決まります。予約の備考なら出る。患者さんごとの院内備考なら出ない。画面にはどちらもその旨が書いてあり、読んで使い分ければ、それで足ります。
そのうえで、覚えておいていただきたいことが1つ。患者さんがそのお知らせを読んだかどうか、消したかどうかは、院からは分かりません。 伝わらなければ困ることは、別の手段も重ねてください。
今日できることは、2つです。どちらの欄に何を書くかを決めて、受付で共有すること。 そして、ご自身の院のマイページを、患者さんの側から一度開いてみること。 何が出ているかは、見れば5分で分かります。
