整骨院のダブルブッキングを防ぐ|同じ時間に2件入る条件は、施術メニューの1行に書いてあります

1件の予約が押さえている長さは施術の長さより長く、その差の部分に次の予約が重なっている様子を表した図

執筆者:

カテゴリ:

公開:

いま、施術メニューの設定画面を開いてください。

1行に、施術名と、時間と、料金が並んでいるはずです。その行には、もう2つ欄があります。準備時間の欄と、担当の欄です。

同じ時間に2件の予約が入るかどうかは、ほとんどこの2つの欄で決まっています。多くの院長さんが最初に疑う「同時予約の上限」ではありません。

この記事では、その1行を左から順に読んでいきます。読み終えるころには、自院で何を直せばいいかが1つか2つに絞られているはずです。

同時に受ける件数の上限は、もう効いています

予約の設定画面に、同時に受けられる件数の上限を決める項目があります。多くのサービスにありますし、SyncotBaseでは1から10までの範囲で院ごとに設定できます。

重なりが起きたとき、まずここを疑うのは自然です。ただ、順番として先に確かめてほしいことがあります。その数字は、たいてい入れたとおりに働いています。

上限を2にしてあれば、その時間に2件入った時点で、3件目は入りません。担当が1人空いていても入りません。ここは効いています。だから数字を下げても、いま起きている重なりは止まりません。止まらないまま、患者さんが取れる枠だけが減ります。

では何が決まっていないのか。その1件が、何分ぶんの場所を取っているのかのほうです。上限の「2件」は数えられますが、1件がどこからどこまでを占めているかは、上限の設定画面には書いてありません。書いてあるのは、施術メニューの側です。

私たちは、この順番を一度取り違えたことがあります。担当ごとの重複チェックを足したとき、担当を指定するメニューでは同時の上限チェックを外す作りにしました。担当が空いているのに予約できないのは不便だろう、と考えたためです。結果として、上限に達している時間でも、担当さえ違えば予約が入るようになりました。2026年6月に、これを直しています。上限は常に効かせ、担当のチェックはその上に足す。 順番を入れ替えただけですが、意味は逆になります。

先に、この記事で使う言葉を決めておきます。上限は「同時に受ける件数の上限」だけを指します。は「1件の予約が押さえている時間」のことです。そして重なりは、同じ時間に2件入ってしまうことを指します。予約システムの周辺には似た言葉が多いので、この3つだけに絞ります。

この記事を書いているのは、合同会社Rhythmwalkerです。整骨院向けの予約管理システム「SyncotBase」を作っています。都内で長年営業する整骨院と共同開発し、いまも導入院の本番環境を保守しています。上に書いた取り違えは、その中で自分たちがやって、直したことです。

予約システムそのものをどう選ぶかは、予約管理システムの選び方ガイドにまとめています。この記事は、すでに入れたシステムで重なりが起きている院に向けた、もう一段細かい話です。

予約が何分ぶん場所を取るかは、施術メニューの1行で決まります

施術メニューの1行に戻ります。

「骨盤矯正 30分」と登録されているメニューがあるとします。この予約が押さえる時間は、30分ではありません。

SyncotBaseでは、予約が押さえる枠を「開始時刻 + 施術時間 + 準備時間」で計算します。準備時間は、施術のあとの片付けや記録にあてる時間で、メニューごとに別々に設定できます。骨盤矯正に準備30分を入れていれば、9時に始まる予約は10時までを押さえます。次の患者さんが入れるのは10時からです。

ここがずれていると、重なりは静かに起きます。施術は30分だと思って9時半に別の予約を入れる。システムは10時まで押さえているつもりでいる。あるいはその逆で、準備時間を入れたつもりが入っておらず、9時半に本当に予約が取れてしまう。どちらも、上限の設定は正しいままです。

自院の画面で確かめる方法があります。予約カードの表示です。

SyncotBaseの予約一覧では、カードの上段に「09:00〜10:00」と出ます。これが実際に押さえている時間です。下段には「30分間(+準備30分)」と出ます。こちらが施術の中身です。準備時間を設定していないメニューなら、下段は「30分間」だけになります。

上下の数字が食い違って見えたら、それが正常です。 食い違いの差が、そのメニューの準備時間です。逆に、押さえてほしい時間より上段が短いなら、準備時間の欄が空いています。

1件の予約が押さえる長さを表した図。太い部分が施術時間、細く淡い部分が準備時間で、上の線が押さえている全体、下の線が施術の中身だけを示している

準備時間については、私たちが直した不具合が1つあります。かつて、確定した予約の備考だけを書き換えて保存すると、準備時間が引き継がれずに枠が施術時間ぶんまで縮んでいました。 縮んだ直後の時間が空いたことになるので、そこに新しい予約が入り得ます。現在は修正済みで、メニューを変更したときだけ枠を計算し直す作りになっています。修正時に本番のデータベースを確認し、実際に重なっていた予約が無いことも確かめました。

メニューを一度も編集していない院でも、この欄は見る価値があります。 施術時間と準備時間は、開業時に入れたまま何年も触っていないことが多い欄です。

担当の欄が空のまま動いているメニューのこと

ここからは、スタッフが複数いる院の話です(SyncotBaseでは Standard でご利用いただけます)。院長おひとりで回している院は、前の章までで足ります。

施術メニューの1行の、いちばん右のあたりに担当の欄があります。ここに誰も入っていないメニューが、たいてい1つか2つ残っています。

施術メニューに担当スタッフを設定した場合、同じ担当に同じ時間の予約が2件入らないようにする判定が働きます。院全体の上限とは別に、その上に足されるチェックです。担当を指定したからといって、院全体の上限がゆるむわけではありません。

逆に言うと、担当の欄が空のメニューには、このチェックが働く余地がありません。 担当が0名のメニューは「誰でも対応できるメニュー」として扱われるので、院全体の上限に達するまで予約が入ります。上限を2にしてある院で、担当の欄が空のメニューだけが動いていれば、同じ施術者に2件入っても、システムから見れば「2件」です。上限には達していません。

これは設定の不備というより、担当の欄が何をしているかが見えにくいことによります。予約を取る画面にも、患者さんの画面にも、この欄は出てきません。出てくるのは、重なったあとです。

なお、担当を入れたからといって枠が狭くなるわけではありません。上限の範囲内で担当が分かれていれば、同じ時刻に取れます。上限を2にしてある院で、9時に担当Aの予約が1件入っているとき、担当Bを指定した予約は同じ9時に入ります。ここは実際に動かして確かめてあります。

担当の欄でも、私たちが直した不具合が1つあります。かつて、予約を編集して保存すると担当が消えていました。 担当のない予約が少しずつ増え、それが指名の重なりを生む入口になっていました。現在は修正済みで、編集しても担当は保たれます。ただ、修正前に作られた「担当のない予約」は、直さないかぎりそのまま残ります。

そして、担当を入れ始めると、今度は別の壁が出てきます。

担当を入れたあとに出てくる、「指定なし」という壁

先に断っておくと、なぜ空き枠が出なくなるのかという話そのものは、予約の取りこぼしを減らす方法で書きました。ここで扱うのは、その手前の「指定なしを増やさない」側だけです。

SyncotBaseでは、担当が「指定なし」の予約も、誰かの担当を押さえているものとして扱います。同じ時間に指定なしの予約が1件でもあると、担当を指定するメニューはその時間に入りません。

担当ごとの3本の帯を表した図。担当が違えば同じ時間に1件ずつ並び、3本すべてにまたがる担当指定なしの予約がある時間には、担当を指定したメニューが入らない

これは安全側に倒した設計です。誰の担当か判別できない以上、重ねないほうがいい、という判断です。ただ、指定なしの予約が増えるほど、担当を指定した予約が入りにくくなります。重なりは止まりますが、代わりに枠が出なくなります。

つまり、担当の欄を埋めることには2つの意味があります。重なりを止めることと、指定なしを増やさないこと。後者のほうが、日々の運用では効きます。

指定なしが増える経路は、実際にはそう多くありません。SyncotBaseでは、予約を作るときの担当欄はこう動きます。

メニューに担当が1名だけ紐づいていれば、その担当が自動で入ります。2名以上なら「選択してください」と出ます。担当が0名のメニューと、メニューを選んでいない状態では「指定なし」になります。

ここから、やることは3つに収まります。担当を1名だけ紐づけたメニューは、放っておいて構いません(自動で入ります)。担当が2名以上のメニューは、予約を作るときに選ぶ習慣をつけます。そして、すでに入っている指定なしの予約を、担当付きに直します。

直し忘れたときの見え方も知っておくと迷いません。患者さんの予約ページでは、その時間が候補に出てこなくなります。管理画面から入れようとすると、その担当はすでに埋まっている旨のエラーで止まります。同じ原因でも、見え方は経路で違います。

電話で受けた1件を、院が手で入れるとき

ここまでは、予約が患者さんの側から入ってくる前提で書いてきました。実際には、電話で受けて院が手で入れる予約も、予定を動かす操作もあります。

SyncotBaseは、患者さんの予約ページ、管理画面からの新規作成、予約の移動のいずれについても、同じ上限の判定を通す仕様にしています。担当の重複チェックも同じです。どこから入れても、判定だけは共通です。

管理画面から満枠の時間に予約を作ろうとすると、いま何件入っていて上限が何件か、という形で止まります。上限を2件にしている院なら「この時間帯はすでに2件の予約が入っています(上限: 2件)。」という具合です。エラーが出た時点で、その時間は本当に埋まっています。 上限の設定を疑うより先に、その2件が何分ぶんを押さえているか(前章の準備時間)と、担当の欄を見てください。

予定を動かすときも同じです。紙の台帳なら消して書き直す2手の作業ですが、消し漏れがそのまま重なりになります。システム上で動かせば、移した先の判定はかかります。ただし移した先で何が押さえられるかは、やはりメニューの1行が決めています。所要時間の長いメニューを閉店間際に動かせば、それだけの枠を押さえます。

紙の台帳や電話からの切り替えそのものは、整骨院の予約管理を効率化するで扱っています。

もう1つ、枠の数え方で押さえておきたいことがあります。承認待ちの予約も、確定した予約と同じように枠を押さえます。 承認するまで空いている、ということはありません。

そのぶん、埋まった枠を空けるのは簡単です。満枠の時間で1件をキャンセルすれば、その枠は解放され、同じ時間に新しい予約を入れられます。ここは実際に動かして確かめてあります。ただしスタッフの操作でのキャンセルに限ります。患者さんがご自分でキャンセルする仕組みや、空いた枠を次の方へ自動で案内する仕組みは、SyncotBaseにはありません。

患者さんの画面には、その時間はもう出ていません

院の画面で満枠になった時間が、患者さんの側でどう見えているか。ここを確かめると、設定の答え合わせができます。

満枠になった時間は、患者さんの予約ページで時間の候補そのものから消えます。薄く表示されて選べない、という形ではありません。だから患者さんは「埋まっている」と気づかず、別の時間を選びます。裏を返すと、患者さんの画面に出ている時間は、いま本当に取れる時間です。ここがずれていたら、設定のどこかが実態と違っています。

患者さんに届く案内も、院の画面とは表示が違います。LINEやメールの通知、患者さんのマイページに出るのは施術時間だけです。60分のメニューなら「14:00〜15:00」で、準備時間ぶんを足した時刻にはなりません。患者さんに片付けの時間までお伝えする必要はない、という考え方です。院の画面で「押さえている時間」を見て、患者さんの画面で「施術の時間」を見る。 2つの数字が違って見えるのは、そういう理由です。

閉店まわりの見え方も、この考え方でそろえてあります。閉店の判定は「開始時刻+施術時間」で行います。閉店が20時で所要30分のメニューなら、19時30分が最終の枠として出ます。準備時間は閉店をまたいで構いません。そのあとに予約は入らないので、片付けの時間まで営業時間に収める必要はないためです。枠を押さえる長さのほう(施術+準備)は、これまでどおり変わりません。

昼休みは、経路で扱いが分かれます。患者さんの予約ページからは、昼休みに予約を入れられません。一方で、院のスタッフは管理画面から入れられます。電話で「昼なら来られる」と言われたときに院の判断を通せるように、という設計です。患者さん側は厳しく、院側は院の判断を優先する。 受付を締める期間(1〜6ヶ月で設定できます)や、枠の刻み(15分・20分・30分・60分から選べます)も、この考え方の延長にあります。

ここまでを自院で確かめてみて、施術メニューの1行のどこを直せばいいか迷ったら、画面を一緒に見ながら整理することもできます。

予約が重なる条件を一緒に確認する(SyncotBase公式サイト)

上限の数字には、戻らなくていい

最初の章に戻ります。

同時に受ける件数の上限は、同時に何人まで対応できるかに合わせる数字です。院長とスタッフ2名で回していて、同じ時間に2人まで施術できるなら2です。重なりを止めるために下げる数字ではありません。

下げると、重なりの代わりに別のことが起きます。取れるはずの枠が患者さんの画面から消えます。しかもこちらは、院には見えません。患者さんは静かに離脱するだけなので、問い合わせも来ません。その側の話は予約の取りこぼしを減らす方法にまとめてあります。

結局、直す場所はここまでで出てきた3つに収まります。施術メニューの準備時間の欄。担当の欄。そして、すでに入っている指定なしの予約。 どれも上限の設定画面にはありません。

よくあるご質問

Q. 同じ時間に2人来てしまったとき、まずどこを確認すればいいですか。

A. 上限の設定より先に、その2件が使っている施術メニューの1行を見てください。確認する順番は、①準備時間の欄が入っているか ②担当の欄に人が入っているか ③片方が「担当=指定なし」で入っていないか、の3点です。上限の設定は、たいてい正しく効いています。

Q. 施術メニューに担当を設定すると、同じ施術者に2件入らないようにできますか。

A. 施術メニューに担当スタッフを設定した場合、同じ担当の二重予約を防ぐ判定が、院全体の上限とは別に働きます。複数のスタッフを登録する運用は Standard でご利用いただけます。なお、担当が0名のメニューは「誰でも対応できる」扱いのままなので、この判定は働きません。予約時に担当を指名していただく「指名予約」は別の機能で、こちらもStandardでご希望に応じて有効化します(指名料を計算する機能はありません)。

Q. 担当が空いているように見えるのに、予約が入らないことがあります。

A. その時間に「担当=指定なし」の予約が入っていないか確認してください。SyncotBaseでは指定なしの予約も誰かの担当を押さえているものとして扱うため、担当を指定するメニューが入らなくなります。誰の担当か判別できない予約を重ねない、という安全側の設計です。指定なしの予約を担当付きに直すと解消します。

Q. 満枠の時間にキャンセルが1件出たら、その枠はすぐ使えますか。

A. すぐ使えます。スタッフの操作でキャンセルすると枠が解放され、同じ時間に新しい予約を入れられます。ただし、患者さんがご自分でキャンセルする仕組みや、空いた枠を待っている方へ自動でご案内する仕組みはありません。空きが出たことに気づいて動くのは、いまのところ院の側です。

Q. 昼休みの時間に予約を入れることはできますか。

A. 経路で分かれます。患者さんの予約ページからは入れられません。院のスタッフは、管理画面から入れられます。お電話で「昼なら来られる」とご相談があったときに、院の判断を通せるようにするためです。

まとめ

予約が重なったとき、最初に開くのは予約設定の画面ではなく、施術メニューの一覧です。上限の数字はたいてい正しく、直すべき欄はその隣にあります。1件の予約が何分ぶんを押さえるかを決めているのは所要時間と準備時間で、誰の時間を押さえるかを決めているのは担当の欄です。どちらも、重なったあとにしか表に出てきません。

私たち自身、担当のチェックを上限の代わりに置いてしまい、あとから順番を入れ替えた側です。上限に足すのか、上限と入れ替えるのか。設定画面には現れない違いですが、当日の受付には現れます。

来なかった予約をどう扱うかは治療院のドタキャン対策に、システム全体の選び方は予約管理システムの選び方ガイドにあります。今日メニューの1行を直したなら、直ったかどうかは来週のカレンダーで分かります。